コラム

2021.11.21

成功するSNS動画広告の鍵 事例でみるABテスト

あたりまえのことですが、動画広告は絵柄が動きます。NAや音楽、効果音も入れられます。静止画広告に比べて注意をひきやすく、また印象にも残りやすいですし、たくさんの情報を伝えられます。こう書くといいことずくめのようですね。実際、SNSでの動画広告を展開する企業は急増しています。サイトやLPへの流入が増えた。契約率がアップした。そうした成果に裏づけられるように、いまやSNS広告の主流ともいえそうな勢いです。
しかしその一方で、動画広告を出してみたけどさほど効果がみられない、期待したほどの成果が上がっていない、という話もよく耳にします。その違いはどこからくるのでしょうか。もしかしたらそれは、「ABテスト」を適切に行ったか否か、にあるかもしれません。
手間と時間はもちろん、それなりのコストを費やしてのぞむ動画広告。今回は、動画広告をはじめようとお考えの皆さまに、最大限の広告効果を実現する有効な手だてのひとつとしてのABテストについてお話ししたいと思います。あわせて、ジムが自社サービス訴求用に制作した動画で行ったテスト事例もご紹介します。

動画広告で効果をあげるにはABテストが必要

ABテストとは、ふたつ、もしくは複数の異なる表現・内容の広告を用意して実際に運用し、いずれが高い成果をもたらすかを分析・評価するものです。動画広告の場合であれば、まったく同じ動画を異なるメディアに出してメディア特性との相性を探るABや、ターゲティングセグメントだけを変えてターゲット設定の適否を分析するABなどもありますが、本コラムでは効果の高い広告表現をめざすための「クリエイティブ」面のABテストをとりあげています。

ネット広告には改善が不可欠

まずお断りいたしますが、こうすれば間違いなく効果の高い動画がつくれる、などという万能の方程式は存在しません。はじめてつくるということであればなおさらのこと、過度な期待は禁物です。とはいえ、手間も費用もかけてつくる以上、成果を出さないわけにはいきません。そこで大切なのが「改善」です。
そもそもネット広告は、運用中であっても変更・修正・差し替えがきわめて容易にできることが特長。いったんつくったらそれで終わり、ではあまりにもったいない話です。効果が出ないのであれば、なぜ効果が出ないのか、どこに問題があるのかをきちんと分析したうえで的確な改善を施す。こうしたトライ&エラーを継続的に繰り返すことで広告効果は着実に、そして間違いなく高まっていきます。

改善策はユーザーに聞くのがいちばん

それでは、どうすれば的確な改善ができるのでしょうか。ひとつ気をつけたいのは、感覚に頼らない、ということです。とりわけクリエイティブ面で顕著なのですが、発信者サイドの思いが強ければ強いほど、それが色濃く出てしまいがち。四六時中その商品なりサービスなりについて考えているのですから、当然といえば当然です。ですがそれがバイアスとなって、誤った思い込み、ピントのずれた決めつけを招いてはいないでしょうか。この商品はこの特長を訴求すれば興味をもってもらえる。このサービスを求めているのはこんなユーザーだ。そう思ってつくった動画広告に効果が出ないのには、きっと理由・原因があるはずですね。
それらを明らかにするには、いったんご自身の思いを脇に置いて、第三者であるユーザー自身の声に耳を傾けてみることをおすすめします。ユーザーに聞く、つまり効果測定です。動画広告イコールTVのマス広告だったふた昔前は、これはとても大変なことでした。費用はかなり高額ですし、時間も相当にかかりました。それがいまのネット広告では、ごくごく短期間のうちに(場合によってはリアルタイムで)より正確で詳細なパフォーマンスデータが手に入りますし、プラットフォームが提供しているツール、たとえばFacebookの広告マネージャを使うなら費用も無料。そうして得られたデータをすぐ次の施策へと活かすことで、きわめて短時間で、手軽に、そしてより効果的に改善することが期待できるのです。

改善への近道、それがABテスト

話をABテストに戻します。いま、自社サイトへの誘導を目的とした動画をつくるとしましょう。その際1本だけつくるのではなく、たとえば冒頭のキャッチコピーだけ、切り口の異なる表現に差し替えた3本を用意したうえで、同時に掲出。一定期間後にクリック率(CTR)を比較することで、3つのコピーのうちどれが誘導効果の高いコピー表現かが明らかになります。単純化してはいますが、これがABテストです。
表現案を設定する部分は確かにつくり手の感覚ですが、その効果のある・なしを評価・判断するものさしは、データで示される実際のユーザーの行動。より効果的な広告表現をめざすうえで信頼性や確実性が高いことは明白ですね。さらに上記の例でいえば、キャッチコピーの次はビジュアルの変更、その次はテロップのありなし、と比較する要素を変えてテストをできるだけ繰り返すことが大切です。こうして的確なPDCAを進め、いわば勝ち抜き戦を続けることで勝率=効果はますますアップ。広告表現の最適化を着実に進めることが可能です。

ABテストの正しい行い方

ここまでは、動画広告を制作する際になぜABテストが必要なのか、どういう意味があるのかをお話ししました。では実際にABテストを行うには何をどうすればいいか、気をつけなければいけないことがあればそれは何かなど、もう少し具体的な内容とともにABテストを効果的に実施するための注意すべきポイントを見てみましょう。

広告の目的と効果判断の指標を明確にする

何をおいても考えるべきは、まず動画広告それ自体の目的をはっきりとしておくことです。企業のブランド力向上を狙うものなのか。サイトやLPへの誘導率を高めるものなのか。具体的な購入活動を促すものなのか。こうした目的が曖昧な広告はABテストを云々する前にNG。ユーザーに何も伝わることなく、時間と費用の大きな無駄となります。
次いで、効果を比較する指標をどこにおくか、あらかじめ決めておくこと。広告の目的が明確であれば自ずと、効果を比較するための指標を何に定めればいいのかがわかります。ブランド認知のアップをめざすなら、再生回数やインプレッション数。LP誘導が目的なら、クリック率、といった具合です。この指標をきちんと決めておかないと正確な分析は望めませんし、当然、効果的な改善にはつながりません。

比較する要素はひとつに絞り込む

ABテストを行う際につい陥りがちな落とし穴があります。どうせABテストをやるのならとばかりに、あれも比べたい、ついでにここもいじりたいと、比較する要素・項目をいくつも盛り込んでしまうこと。それではせっかく効果が現れてもいったい何が影響したのか、判断のしようがありません。比較するところはあくまでも1箇所。ABといってはいますが、実際にはA・A’・A”テストといった方が正解ですね。より有意で確かな成果を求めるのであれば、比較要素はひとつずつピンポイントで、を鉄則にしてください。

短期間でもテスト回数を増やす

ABテストを行う期間はどのぐらいがいいのでしょうか。1週間もあれば十分ともいわれますし、最低2週間、できたら1カ月は必要という声も耳にします。ただし、ABテストの目的である効果の比較という視点で考えれば、期間が短すぎると有意で明確な差があらわれる前に終わってしまうこともあります。その一方で、ある程度の有意な差がつく期間を大幅に超えてしまうようでは、時間と広告料金の浪費です。先にお話ししたようにネット広告のメリットのひとつは、公開・非公開の作業がきわめて簡単なこと。加えて、ABテストの成果をより高めるためには繰り返しが必要であること。このふたつからいって、多少短めの期間であってもテスト回数を増やし、的確なPDCAを繰り返すことの方が重要であると考えます。
また、クリエイティブのABテストの場合は同じメディアに同時に並行して掲出することをおすすめします。繰り返しますが、比較項目はひとつのみ。効果測定を大きく左右しかねない要素は一切排除するようにしましょう。

解析をきちんと行う

一般的なWebサイトでABテストを実施する場合、比較要素や変数は多種多岐にわたるため、その効果測定の指標となるデータもさまざまです。当然、精度の高い分析を行うには専門的な知識やノウハウとともに、高度な解析ツールが欠かせません。実際ネット上で検索してみると数多くのコンサルティング会社がヒットし、それぞれ独自の解析ツールをアピールしています。一方、SNS上で動画広告を展開する際のABテストでは、そこまで敷居は高くありません。とりわけ、はじめて動画広告に取り組むようなケースであれば、効果測定に必要な分析データは、実は各プラットフォームが提供する無料の解析サービスですべてまかなえてしまうのです。前述の広告マネージャがそうですし、YouTubeアナリティクスもそう。解析がとても大切なのは間違いありませんが、抑えられるコストはできるだけ抑え、そのぶんをテストにまわしてPDCAをスピーディに繰り返すことの方がより大きな成果につながるものと考えます。

事例でみるABテストの実際

冒頭でお伝えしたようにここでは、ジムがFacebookのフィード広告で実施した動画広告のクリエイティブABテストについてご紹介します。

[広告出稿 概要]
〇広告目的:自社サービスLPへの集客
〇出稿媒体:Facebook フィード広告
〇出稿期間:2021年8月19日(木)〜25日(水) 計7日間
〇タイプ:動画広告 尺15秒 3本
〇KPI:クリック率(CTR)
〇予算:約100,000円

 

【テスト概要】
ジムが提供している自社サービス「動画パスポート」のLPへの集客率を高めるためにSNS用動画広告を制作。運用を開始するにあたり、費用対効果を高めるための広告表現の最適化をめざしたABテストをかねて1週間掲出しました。効果測定の指標にはクリック率を設定。初回ということもあり、比較的誘導効果に差が出やすいファーストシーンのキャッチコピー違い3パターンをテストしています。

 

【効果分析】
1週間の掲出後、Facebook広告マネージャで結果をチェック。まず、効果測定の指標としたクリック率をみてみると……。Aの2.35%はBの1.11%の2倍以上と、想定していた以上の差がみられました。その一方で動画の平均再生時間では、BおよびCの5秒に比べてAは3秒という結果が出ています。このことからAのキャッチコピーには、B、Cに比べてより短い時間で興味・関心をひくだけの訴求効果がある、と推測することが可能です。ただしそこには想定が多分に含まれているため、さらにABテストを繰り返して精度・確度を高めていく必要があることも明らかになりました。

 

ABテストの問題点も知っておく

ABテストに関わるあれこれをご説明してきましたが、いざ実行するとなると解決すべきさまざまな課題や問題が表面化してきます。それらは繰り返しと継続を通じて改善をめざすABテストそのものが内在する問題でもあり、あらかじめ対策を講じておくことが必要です。

社内リソースへの負荷

いまの社会状況を見る限り、社内リソースに十分な余裕があるという企業は業種・ジャンルを問わず皆無といっていいのではないでしょうか。動画広告の制作という新たなミッションが動き出したとしても、おそらくは現状の業務との兼任というところが多いかと思います。ABテストの実施は、繰り返されるPDCAのうえに成り立つもの。企画・マーケティング・プロモーションなど何役もこなせるスタッフがそろっているのならまだしも、外部のリソースに任せるなどで負荷の軽減をはかる必要が生じるかもしれません。
それはとりわけクリエイティブ面で顕著です。ABテストはどちらがいい表現かの判断はつけられますが、いい表現そのものを生み出すことはできません。基本となるクリエイティブの質を維持し続けるには、外部のプロに発注する必要性も考慮しておきましょう。

限られた費用内でのやりくり

そしてもちろん、予算という避けては通れない大きな問題があります。動画広告はいまSNS用の10〜15秒のものが中心で、企業サイトやYouTubeにアップされる2〜3分の動画に比べれば比較的手軽な費用で制作できます。ただABテストとなると話は別。スピード感をもって量産することが求められるため、それなりにコストがかかるのは避けられないことです。動画広告の費用対効果をあげるためにはABテストが必要。ABテストを効果的に実行するには制作本数が増える。制作本数が増えると費用がかさむ。と、何かもう三すくみ(?)状態を呈します。

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そこでおすすめしたいのが、ジムの提供する「動画パスポート」です。動画クリエイターが10〜15秒を中心とした高品質動画を制作して、何と1本10,000円から、の低価格!  コストを抑えつつ量産が可能ですからABテストにもうってつけ。低額でなおかつ定額制なので予算組みがしやすいのも魅力です。ぜひ一度お試しになってみませんか。

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