ホームページ制作に対する助成金とは
ホームページ制作をするためには、デザインやコーディングの費用やサーバーの利用料など、まとまったお金が必要です。
中小企業の場合は、ホームページを制作したくても、制作のための見積もりが想定以上になり、制作を諦めてしまったというケースもよくあります。
そのような結果にならないために、また中小企業がホームページを通じて売上を向上することを目的にホームページ制作費の一部を補助する助成金があります。
ホームページ制作に適応される可能性のある、助成金の種類や概要を紹介します。ぜひ、貴社のホームページ制作の一歩としてください。
なお、以下の内容は2022年度時点で公開されている情報に基づいています。
そもそも助成金とはなにか
ホームページ制作の助成金について知る前に、そもそも「助成金」とはどのようなものかを知っておきましょう。
「助成金」とは、企業や団体に対して給付されるお金のことです。助成金と似た用語に「補助金」があり、どちらも国や地方自治体が給付するお金を指します。両者は目的によって大きく区別されており、「助成金」は雇用や労働の改善のため、「補助金」は政策の実現のために給付されるお金です。ホームページ制作に対して給付されるお金は、一般的には「補助金」の区分です。
一方で、「助成金」と「補助金」の線引きは曖昧なところもあり、特に地方自治体によっては混同して使われています。本記事では、ホームページ制作の補助金を「助成金(補助金)」と表記します。
ホームページ制作の助成金(補助金)の種類:小規模事業者持続化補助金
ホームページ制作の助成金として、有名な助成金(補助金)のひとつが小規模事業者持続化補助金です。
この助成金(補助金)の目的は「持続的な経営に向けた経営計画に基づく、地道な販路開拓等の取組や、その取組と併せて行う業務効率化(生産性向上)の取組を支援する」ことです。[※1]
販路開拓、マーケティングにかかわる業務の実施または業務の効率化の全般が補助対象であるといえるでしょう。
小規模事業者持続化補助金の対象事業
小規模事業者持続化補助金の対象事業となるのは、次の(1)(2)どちらの要件も満たす事業であるとされています。[※2]
(1)策定した「経営計画」に基づいて実施する、地道な販路開拓等のための取組であること。あるいは、販路開拓等の取組とあわせて行う業務効率化(生産性向上)のための取組であること。
(2)商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること
また、次の(1)(2)(3)いずれかの事業に該当するものは対象事業からは除外されます。[※3]
(1)同一内容の事業について、国が助成(国以外の機関が、国から受けた補助金等により実施する場合を含む)する他の制度(補助金、委託費等)と重複する事業
(2)本事業の終了後、概ね1年以内に売上げにつながることが見込まれない事業
例)機械を導入して試作品開発を行うのみであり、本事業の取組が直接販売の見込みにつながらない、想定されていない事業
(3)事業内容が射幸心をそそるおそれがあること、または公の秩序もしくは善良の風俗を害することとなるおそれがあるもの、公的な支援を行うことが適当でないと認められるもの
一部事業を除き、販路開拓が必要であれば給付対象となりやすいものの、堅実な「経営計画」が必要である点が明記されていることに注意が必要です。
小規模事業者持続化補助金の対象者
小規模事業者持続化補助金の対象者は、「日本国内に所在する小規模事業
者(個人、又は日本国内に本店を有する法人)等(単独または複数)」です。
「小規模事業者」の定義は、「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律」において定められており、従業員数によって区別されています。また基準となる従業員数は業種ごとに異なります。
業種 | 常時使用する従業員の数 |
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業 その他 | 20人以下 |
また、医師や公益社団法人、宗教法人など、一部の小規模事業者は補助の対象ではありません。
その他、課税所得の年平均額や株式の保有状況など、いくつかの除外要件があります。[※4]
小規模事業者持続化補助金の補助金額
小規模事業者持続化補助金によってもらえる金額は、申請する「枠」によって異なります。枠ごとに「補助率」「補助上限」が決まっているため、申請要件と合わせてどの枠で申請をするのかを検討するようにしましょう。
通常枠 | 賃金引き上げ枠 | 卒業枠 | 後継者支援枠 | 創業枠 | インボイス枠 | |
補助率 | 2/3 | 2/3または3/4 | 2/3 | 2/3 | 2/3 | 2/3 |
補助上限 | 50万円 | 200万円 | 200万円 | 200万円 | 200万円 | 100万円 |
[※5]
小規模事業者持続化補助金の補助対象となる経費
小規模事業者持続化補助金の補助対象となる経費は、あらかじめ明示されている経費のみです。明示されている経費以外の経費は対象外ですので注意しましょう。
以下の経費が補助対象となる経費です。
①機械装置等費、②広報費、③ウェブサイト関連費、④展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、⑤旅費、⑥開発費、⑦資料購入費、⑧雑役務費、⑨借料、⑩設備処分費、⑪委託・外注費[※6]
小規模事業者持続化補助金の申請方法
小規模事業者持続化補助金の申請は、商工会・商工会議所に対しておこないます。
事業計画書など申請に必要な書類を作成し、商工会・商工会議所の申請窓口宛に郵送するか、電子申請をします。提出した申請内容について審査が実施され、採択結果はWebページ上に公表されます。
補助の対象となった事業を完了した後は実施報告書の提出が必要です。実施報告書の提出がない場合は補助金は支払われません。
申請に必要な書類の詳細は手続きの流れは「補助事業の手引き」に記載されています。[※7]
ホームページ制作の助成金(補助金)の種類:事業再構築補助金
事業再構築補助金は、感染症拡大の影響を受け、経営に打撃を受けた事業の再構築を目的とした補助金です。特に「新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦」に対して補助が実施されます。[※8]
ホームページ制作によって、このような挑戦をおこないたいと考えている場合は、サポートを受けられる可能性が高いでしょう。
事業再構築補助金の対象事業
小規模事業者持続化補助金と異なり、事業再構築補助金は幅広い業種・業態の事業が補助対象となり得ます。
一方で、補助金申請の要件として、「感染症の拡大時期に売上が減っている」ことや、「事業再構築に取り組む」こと、「認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する」ことが定められています。[※9]
これらの要件に合致した事業であれば、補助金申請をすることが可能です。
事業再構築補助金の対象者
事業再構築補助金の対象者となるのは、「中小企業、中堅企業、個人事業主、企業組合等」です。中小企業、中堅企業の範囲は以下と定められています。
中小企業の範囲:
業種 | 要件 |
製造業その他 | 資本金3億円以下の会社 又は 従業員数300人以下の会社及び個人 |
卸売業 | 資本金1億円以下の会社 又は 従業員数100人以下の会社及び個人 |
小売業 | 資本金5千万円以下の会社 又は 従業員数50人以下の会社及び個人 |
サービス業 | 資本金5千万円以下の会社 又は 従業員数100人以下の会社及び個人 |
中堅企業の範囲:
上記中小企業の範囲に入らない会社のうち、資本金10億円未満の会社 [※10]
事業再構築補助金の金額
事業再構築補助金にも、いくつかの「枠」が存在し、補助率と補助上限がことなります。やや複雑な区分であるため、ここでは概要のみ紹介します。
通常枠 | 大規模賃金引上枠 | 回復・再生応援枠 | 最低賃金枠 | グリーン成長枠 | 緊急対策枠 | |
補助率 | 1/3~2/3 | 1/3~2/3 | 2/3~3/4 | 2/3~3/4 | 1/3~1/2 | 2/3~3/4 |
補助上限 | 100万円~8,000万円 | 200万円~1,500万円 | 100万円~1,500万円 | 100万円~1,500万円 | 100万円~1.5億円 | 100万円~4,000万円 |
[※11]
各枠の申請要件や、補助率・補助上限の詳細は、中小企業庁公式ホームページよりご確認ください。
事業再構築補助金の申請方法
事業再構築補助金の申請は、経済産業省に対しておこないます。申請に必要な書類は事業計画書で、認定支援機関(経済産業省に認可された社会保険労務士など)とともに作成することが必要です。
作成した書類は電子申請で提出します。郵送での受付はおこなっていないため、この点にも注意する必要があります。審査後、採択結果はWebサイト上で発表されます。採択後は交付申請をおこない、受理されると交付が正式に決定します。
また、必要に応じて状況報告書の提出や事業完了後の実績報告書の提出が求められます。[※12]
ホームページ制作の助成金(補助金)の種類:ものづくり補助金※参考
ものづくり補助金とは、正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」としており、「中小企業等による生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する」ことを目的とした補助金です。現在「一般枠」「グローバル枠」「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」が設定されています。
2021年以前は「低感染リスク型ビジネス枠」が存在し、ホームページ制作をはじめとする営業経費が補助対象でした。現在はこの枠は廃止されており、ホームページ制作に利用できる補助金ではなくなっています。
なお「デジタル枠」は、「DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品やサービスの開発」または「デジタル技術を活用した生産プロセスやサービス提供方法の改善による生産性向上」の取組を支援するものと定義されており、通常ホームページ制作は該当しないと判断されています。[※13]
ホームページ制作の助成金(補助金)の種類:IT導入補助金※参考
IT導入補助金の正式名称が「サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金」であり、「中小企業・小規模事業者等が生産性の向上に資するITツールを単独又は連携して導入するための事業費等に要する経費の一部を補助することにより、中小企業・小規模事業者等の生産性向上を図ること」を目的としています。[※14]
ITツールの導入が応募要件として組み込まれていることが特徴で、ホームページ制作だけではなく、何らかのITツール導入が伴っていることが必要です。
ホームページ制作の助成金(補助金)の種類:自治体の補助金
地方自治体が給付する補助金にも、ホームページ制作が補助対象に含まれる場合があります。たとえば東京都では、8つの自治体で「ホームページ作成費補助金」等を設けており、上限数万円から数十万円の補助を受けることができます。
自治体に拠点があることが要件となるため、各自治体のホームページなどを確認の上検討してみましょう。
助成金(補助金)を使ったホームページ制作の相談はGYMにお問い合わせください
株式会社ジムでは、ホームページ制作をするための助成金申請前の相談もお受けしています。これまでに申請が通った事例や逆に通らなかった事例などのノウハウをご提供します。
また採択後のホームページ制作から事業完了報告に必要な資料(見積もり・発注書・請書・請求書)の手配にもスムーズに対応いたします。
[※1][※2][※3][※4][※5][※6]
参照:令和元年度補正予算・令和 3 年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型> 公募要領 全国商工会連合会
https://r3.jizokukahojokin.info/doc/r3i_koubo.pdf
[※7]
令和元年度補正予算・3年度補正予算小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブック 全国商工会連合会
https://r3.jizokukahojokin.info/doc/r3i_gaidobook.pdf
[※8][※9][※10][※11]
参照:事業再構築補助金 中小企業庁 https://jigyou-saikouchiku.go.jp/
[※12]
【最新版】「事業再構築補助金」必要書類や申請方法、代行は可能? 手続きの流れや事業計画書の書き方は? 労務SEARCH https://romsearch.officestation.jp/jinjiroumu/joseikin/12999
[※13]
参照:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 令和3年度補正予算の概要 中小企業庁 https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/2021/hosei/mono.pdf?0303
[※14]
参照:令和元年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金 一般社団法人サービスデザイン推進協議会 https://www.it-hojo.jp/r03/doc/pdf/r3_application_rules.pdf