ブランディングとは、「ブランド」を浸透させるための様々な活動を意味する言葉です。「ブランド」は、シンボルマークやロゴ、商標、名称、キャッチフレーズ、商品デザインなど、様々な要素で表現され、その世界観が世に認知されると、「〇〇といえばあの商品」とターゲット市場でのポジションが確立し、優位性を保てます。ですが、ブランディングにおいて本当に大事なことは、意外と知られていません。今回は、ジムでも大事にしている、ブランディングの基本となる考え方をお伝えします。
今、ブランディングが重要な理由
ブランディングとは、企業もしくは商品の「ブランド」を確立するために行う様々な活動です。ブランドを確立することで、同業他社(類似商品)と差別化ができ、お客様から選ばれやすくなります。「○○といえば○○社」というように、必要な時、お客様から真っ先に思い出してもらえたり、「御社だからお願いしたい」など、オンリーワンの存在として認知される可能性が高くなるのですね。
コロナ時代におけるリブランディング
特に最近は、コロナ禍において人々の価値観や行動パターンが変わり、お客様のニーズも変化しています。コロナ禍をきっかけに、商品やサービスのコンセプトを見直したり、新しいマーケットを開拓する企業はますます増えていくでしょう。そんな時、ブランディングに力を入れる事がビジネスを広げるポイントになりますし、すでにブランドを確立している企業も、時代の変化を見据えた「リブランディング」が必要になってくるのです。ブランディングとは何なのか、もう少し具体的に解説します。
ブランドを構成する要素
ブランドは、様々な要素で表現することができます。たとえば、ロゴ、名称、キャッチフレーズなどですね。ブランドのイメージが定着すると、ロゴマークを見るだけで思い出してもらえるわけです。例えば、アクティブなイメージや、斬新でスタイリッシュなイメージなどそれぞれの個性が思い浮かびます。お客様は、そのブランドを利用すればアクティブになれる、スタイリッシュに見える、と期待して購入します。ブランドがそのイメージを裏切ることなく、一貫した価値を提供し続けることで、お客様に「特別感」や「信頼感」を感じてもらえて、リピート購入につながります。
企業がブランディングをするメリット
企業がブランディングをするメリットは、いくつかあります。たとえば、ブランディングによって自社の価値を正しく伝えていれば、競合他社を気にしなくてよくなります。お客様は、自社を信頼して商品を購入してくれるので、値下げ競争に巻き込まれなくなるでしょう。ブランド=高級品というイメージをお持ちの方もいるようですが、そうではありません。ブランディングは他社との差別化を図ることが目的であり、そうすることで、自社の想いが詰まった商品を、適切な価格で世の中に広げることができるのです。
企業ブランディングで重要なこと
ブランディングというと、ロゴを制作するなどビジュアル面に目が行きがちですが、それは大きな誤解です。まず重要なのは、言語化。会社の理念や想いについて時間をかけて言語化していき、社内外の人が聞いてわかりやすいストーリーをつくっていきます。ロゴやデザインに落とし込むのはその後のプロセスです。
まずは社内に浸透させることが大事
では、企業理念や想いを言語化し、ロゴやデザインでビジュアル化すれば、ブランディングは成立したと言えるのでしょうか?いいえ。言葉を言語化してロゴを制作しただけでは、ブランディングが成立したとは言えません。例として、ジムの事例で説明しますね。私たちは「#伝え方をデザインする」というコアメッセージを掲げていますが、「#伝え方をデザインする」とは具体的にどういうことか?それを、社員一人ひとりが体現できてこそ、初めてお客様に伝わると考えています。「#伝え方をデザインする」会社であるならば、社員の一人ひとりが、いかなるコミュニケーションにおいても伝え方を工夫しているはず。お客様に対して、私たちがわかりづらい伝え方をしていたら、辻褄が合わないですからね。逆に、日々のコミュニケーションの段階から工夫していたら、お客様に「こんな表現もあるのか」「伝え方によってここまで変わるなんて」と気づきを与えることができますし、「#伝え方をデザインする」価値をわかってもらえます。「ブランドを体現する」とは、日々の業務の積み重ねの中にこそあります。ブランディングとは、ブランディング担当者だけが行う活動ではないのです。会社が「個」の集合体と考えれば、社員一人ひとりが想いを持って働くからこそ、会社のブランド力や、競合他社への優位性を保てるのではないでしょうか。外に向けて行う活動でありながら、まずは社内に浸透させることで、社外にも浸透していく。ジムではそういった想いで活動していますし、ブランディングの相談に来られるお客様に対しても、大事なポイントとしてお伝えしています。
ブランデイングの成功事例として有名なスタバ
スターバックスコーヒー(以下、スタバ)は、ブランドコンセプトをわかりやすく体現する企業として有名です。カフェチェーンでありながら、コーヒーだけでなく、「第三の場所(=サードプレイス)を提供する」をコンセプトとしています。ちなみに、コーポレートサイトで発信している「OUR VALUES」には、こんな一文があります。
「お互いに心から認め合い、誰もが自分の居場所と感じられる文化をつくります」
“店”ではなくて、居場所と定義しているのです。だから、スタバのスタッフは、お客様がお店に入ってきても「いらっしゃいませ」とは言わないのですね。その代わり、友人が訪ねてきたような感覚で「こんにちは」と迎え入れてくれます。店内のインテリアや家具も、お家のリビングのような雰囲気だったり、テーブルのサイズがゆったりしていたり、隣の席との間隔を広めにしてあるなど、寛げる空間になっています。私たちがスターバックスを選ぶ理由は、「心地よく過ごせるから」という信頼感が大きいのではないでしょうか?「第三の場所」というコンセプトをスタッフ一人ひとりが体現することで、長い時間をかけて、お客様に浸透したのでしょう。
企業ブランディング構築のポイント
ここからさらに具体的に、ブランディングを構築する際のポイントをお伝えします。先に述べたように、ブランディングとは、想定されるお客様に対して自社の価値を分かりやすく伝える活動です。どんなことを伝えるのか明確にしておかないと、メッセージがぼんやりとしてしまいます。
誰に届けるのか?
特に、ターゲットをイメージできなければ、メッセージが単なる情報になってしまい、その人たちの心に届くメッセージはつくれません。ブランディングにおけるターゲットとは、ブランドの思想や世界観に共感し、購入してくれる人たちのこと。ターゲット層の人々が、どのような価値観を持っているのか、それを想定することが大事です。スタバであれば、「都会的な雰囲気に憧れを持っている層」がターゲットと予想できます。
都会的な雰囲気に憧れている人は、普段、どのような音楽を聴いているのか、休日の趣味、食の好みなど、彼らの日常を想像し、その価値観をブランドイメージとしてキャッチコピーやデザインなどのビジュアルに込めていきます。そして、ブランドイメージとして想起するものを実際に店舗で体験できるように、ロゴやインテリア、商品、接客など具体的な形に落とし込んでいくのです。
自社のポジショニングは?
次に考えるのは、マーケットの状況を鑑みて、自社のポジションを確立できるかどうかの判断です。そもそも、明らかに強烈なライバルがいる場合は、新たにブランドを浸透させるのは難しいかもしれませんよね。その場合は、ターゲットやポジショニングを修正し、ブランドコンセプトを再度、考えるほうが現実的かもしれません。確かな情報を集めた上で分析しましょう。なお、ターゲットやポジショニングを行うには、「3C分析」や「ブランド・アイデンティティ・プリズム」といった、フレームワークを取り入れるといいでしょう。基本的なことをスムーズに分析できます。
3C分析
「Company(自社)、Competitor(競合)、Customer(顧客)」の3つの頭文字を取ったフレームワークです。自社と競合の「強み」と「弱み」をヒト・モノ・コト別に書き出して、顧客のニーズや困りごとと照らし合わせることで、「他社にない自社の強み」を明確にできます。
ブランド・アイデンティティ・プリズム
ブランド・アイデンティティの定義に必要な6つの要素を、プリズム(六面体)の形で整理するフレームワークです。6つの要素とは、ブランドの物理的特商、ブランド・パーソナリティ、顧客とブランドの関係性、文化、ブランドのターゲット、セルフ・イメージです。
ブランディング活動について相談するには?
以上、企業のブランディングについて基本の考え方をお伝えしました。ジムではクライアントのブランディング活動のために、Webサイトデザインや動画制作をはじめ、各種クリエイティブを手がけています。お客様からきめ細やかにヒアリングをさせていただき、客観的な視点から新たな魅力を引き出すブランディングをお手伝いします。質問やご相談がありましたらお気軽にお問い合わせください。